ぽこあぽこ日記

あらゆることをびぼうろく

ゴッホは自殺していない?|ゴッホ展 2021年に行ってきました

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という間に2021年も師走に突入ですね。ほんとに早いッスよね~

少し季節を戻しますが…

今年の秋って、ニクいほど秋らしくありませんでした? 天高く馬肥える秋…みたいな

「ここ数年で最高にステキな秋」であったと思う*ぽこあぽこ*です。

皆さんはどのような秋をお過ごしでしたか?

感染者数は激減し(なぜか日本だけ)、台風被害なく天候は安定、紅葉の色付きが例年以上に美しく、そして…

 

どこへ行っても日本人しかいない。

 

この秋は京都が日本人で溢れかえっていたそうです。

残念ながら*ぽこあぽこ*は京都へは行くことが出来ませんでしたが

2021年秋の某日、上野の「ゴッホ展」へ足を運び芸術の秋を堪能してまいりました。

わたくし、ゴッホの絵、ひじょうに好きです。

 

gogh-2021.jp

 

ゴッホの作品を生で観ていると時空を超えて物質の本質を観たような気分になっちゃいます。

今回は「夜のプロヴァンスの田舎道」の前から立ち去りがたく

少し離れたところからストーカーのようにじーっと眺めておりました。

一緒に行った夫が待ちくたびれてました。

 

せめてポスターを玄関に飾ることに

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ですが、今日は彼の作品についてではなく

フィンセント・ファン・ゴッホという人物について備忘録しておきたいです。

個人的にゴッホの人物像に関してはどうもレッテルがありまして。

何かで読んだり聞きかじったりしたセンセーショナルな情報を切り取って、それを作品と対比してる部分が否めません。

 

ストーカー気質の社会不適合者が

夢と絶望のはざまで

じぶんの耳切り落としたり幻覚を見ながら売れない絵を描き続け

最期は絶望の淵に立たされて発作的に自ら命を絶ってしまった…

 

ちょっと、いくらなんでも酷くない?

 

くらいに、不遇な画家人生を送った人…みたいなレッテル貼りです。

けども、今回のゴッホ展のおかげで、少しわかったような気がするの。

気がするだけですが

時代をなぞりながら作品を観てゆくと

この人は生まれながらの才能の持ち主というわけではなく

画家になることを決心してから不器用ながらも努力を重ね

観ている独自の世界観を忠実に描くことが出来るようになった努力の人だということが。

前置き長くなっちゃいましたが、良い機会なのでゴッホについての備忘録です。

 

ジャポンに行きたかったゴッホ

ゴッホは日本の浮世絵から大きな影響を受けてますよね。

当時のパリはジャポニズムブーム、浮世絵の斬新な構図や色彩に多くの西洋画家たちが心を奪われたのでした。

ゴッホも弟の金で浮世絵を買いまくり(600点)

 

この色凄くね?ジャポン凄くね?

 

と、日本への憧れを強くしながら浮世絵の技法を勉強してます。

 

歌川広重|名所江戸百景 大はしあたけの夕立

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当時の西洋技法では「雨」は描くものではなかったのだそう。雨を線で表現する画法にはゴッホも驚いたのだとか。

 

模写しています

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ゴッホは日本の文化や生活習慣にも興味を示してます。

光溢れるジャポンへ行きたいけどムリだし、せめてパリよりも南にある「アルル」へ移り住むのでした。

日本に対して勘違いしている部分もあるあるなんだけども

一方でこんな言葉も残している↓

 

まるで自分が花であるかのように自然の中に生きる、こんなに単純なこれらの日本人が私達に教えてくれるものこそ、まずは真の宗教ではないだろうか

 
「神道」を感覚的に理解できている人のような気がします。
ゴッホにとっては絵を描くことが求道であり
彼の観ていた景色は分子レベルの振動数であったのでしょう。
太陽や月や草木だけでなく家や人工物もまるで生きているように歪んだり揺れている。

これを、アルコールや(当時、アブサンという中毒性のあるお酒が流行っていた)

精神を病んでいたせいで幻覚を観ていたのだという人もいるけども

幻覚だけで描かれた「空が渦を巻いてる」「建物が歪んでる」作品が後世にこれほど人を惹きつけることはないでしょう。

後世のわたしたちは作品を通してこの世の本質を垣間見ているのだと思う。

 

ゴッホは自殺していない

そしてもうひとつ書いておきたいことが。

ここ数年、ゴッホの死因に関して「他殺説」が言われるようになってきたみたいです。

 

永遠の門 ゴッホの見た未来

www.youtube.com

ネタバレになってしまうけど

この作品の中では、ゴッホは2人の少年に銃で撃たれて亡くなっているのでした。

え?そなの?聞いてないよ~

今まで「ゴッホは自殺」した人だと思い込んでたせいで彼のイメージを勝手に作ってしまっていたんだけど。どうしてくれるの。

で、個人の感想として「ゴッホは自殺してない」という確信を持ちました。

 

「他殺説」を公に言いだしたのは米国の2人の作家で

スティーヴン・ネイファーとグレゴリー・スミスは、10年間にわたって翻訳者や研究者と共に、未翻訳のゴッホの手紙数千通を調査し

「ゴッホは自殺したのではなく、整備不良の銃を持って遊んでいた2人の少年が偶発的に撃った銃に撃たれて死亡した可能性が濃厚」と主張した伝記を出版したのでした。

ネイファーは「ゴッホの身近にいた知人たちは、ゴッホが少年らが偶発的に撃った弾があたったことを、子供たちを保護するために自ら銃を撃ったことにしたと理解している」と話した。

他にも、自殺と断定するには不自然なことが多々あって、むしろ「今までどうして自殺したことになってたの?」とツッコミ入れたい。

 

・精神を患った金のないゴッホが銃を入手することはひじょうに困難である

・至近距離から自ら撃った弾が貫通せずに体内に残ることは物理的にありえない

・自殺するには致命的にならない場所を撃っていて絶命せずに歩いて帰宅している

・亡くなったのは2日後なのにこの件に関してはほとんど話していない

など

しかも、この時期ゴッホの絵は少しずつブレイクの兆しもあったらしく

描く気満々で画材を大量に購入した翌日に自殺するだろうか?

 

ゴッホを撃ったとされる少年ふたりはパリに住む裕福な家の兄弟で、学校の休みの間に避暑の目的でゴッホの住むオーヴェルに遊びに来ていたらしいですね。

ひとりはかなりの悪ガキで、浮浪者のようなみすぼらしい恰好をしたゴッホをからかって遊んでいた一方で

もうひとりの少年はもともと絵画に興味があり、ゴッホの隣で色々な話を聞いて、ゴッホも喜んで教えてあげていたんだそう。

ゴッホはこの絵画に興味のある少年を守りたかったんじゃないのだろうか。

 

まとめ

目撃者がいないので真相はわかりません。それでも、じぶんの中でずっとモヤモヤしていたゴッホに対するレッテルが剥がれました。

精神の不安定さに苦しんでいたのは事実だが絶望したあげくに自殺したわけではない

という結論に至って嬉しいのです。負けたわけじゃなかった。

認められないことを苦に自殺するような自我の大きな画家に「大自然が渦を巻き情熱で揺れている写実」は出来ないでしょうから。

今回のゴッホ展は12月12日まで開催されているので、興味のある方はぜひ、上野へ足を運んでみてね。

 

最後に、ゴッホが残した言葉をいくつか引用して終わりにしたいと思います。

それでは、ごきげんよう。

 

人間は毅然として現実の運命に耐えていくべきだ。

そこに一切の真理がひそんでいる。

 

 

僕の人生はそれほど長くないだろう。

だから僕はひとつのことしか目に入らない無知な人となって仕事をするつもりだ。

 

 

たとえ僕の人生が負け戦であっても、僕は最後まで戦いたいんだ。

このまま行けと、僕の中の僕が命じるんだ。

 

 

99回倒されても、100回目に立ち上がればよい。

 

 

僕はずっとひとりぼっちでいるせいか、人と話すと自分のことばかり話してしまう。

 

 

常に悲しみを要求する人生に対して、僕らにできる最上のことは、小さな不幸を滑稽だと思い、また大きな悲しみをも笑い飛ばすことだ。